「鳥取県産のLEDを全国へ」

株式会社フジ電機

代表取締役 谷口浩章さん


 

花き用LED照明をご存知でしょうか。花の生長を促すために使用される照明です。

 

今回は、LED照明のほか、電子基板の製造等を行われている、

株式会社フジ電機 代表取締役の谷口浩章さんに、会社のことや社長の思いについてお話を伺いました。

 


 

ーー経営していく上で大切にしていること・理念はありますか?

 

「スピード感のある仕事」を意識しています。私もそうですし従業員に対してもですが、受注して8時間以内には仕事が完結するように心がけています。長くかかるものでも1週間以内には完結させるよう取り組んでいます。

 

それと、自分一人で働いている訳ではないので、従業員同士の思いやりが大切だと思います。同様に、お客さんに対しても思いやりの気持ちを持つことが大切だと思います。

 

 

 

ーースピード感が大切だと感じたきっかけを教えてください。

 

お客さんから注文を受けた時に、納期が1週間かかりますっていうとお客さんも残念そうな顔をしますよね。もうちょっと早くならないの?と。

モノを造る仕事ではありますが、飲食業のような感覚でお客様に接することが大事なのかなと思っています。仕事が遅いと相手の時間を奪うことにもなります。そういう意味ではスピードっていうのは大事だなと。

 

見積もりひとつでも、スピード感のある仕事を心がけています。納品までに1週間かかるとお答えしてても、2日3日で仕上げて出すとか。この日に出せますって言ってた日にちよりも早めに出すなど、お客さんに「おっ!」と思ってもらえる仕事を心がけています。

 

 

 

ーー会社のスローガンを教えてください。

 

厳しい中にも輪を慈しんで互いに信頼しあえる職場を作っていきたいと考えています。その中でみんなが成長できれば。

 

 

 

ーースローガンは元々決まっていたのですか? 社長になって新しく決めたのですか?

 

元からあったものを受け継いできている形になります。一部は時代に合わせて更新しています。スローガンだけではなく製品に関しても、品質をよくしていったり、効率を上げてコストダウンに結びつけたりなど、徐々に改良を加えています。

ただモノを造って出すだけではなく、こういうこともできます、ああいうこともできます、という提案をお客様は求めていると思います。今あるものをいかに良くしていくかについては、絶えず考えています。

 

 

 

 

ーー改良はどのような仕組みで行われているのですか?

 

スローガンにある「既成概念にとらわれずにユニークな方法を導入し、個性ある管理体制を確立しよう」に則り、毎月各グループに提案を出してもらう「なんでも提案」っていうのを行なっています。

「なんでも提案」は、提案に対して一律で報奨金を出しています。「これは!」という提案はいくつか出てきますね。最初から100点を取ろうとするのではなく、20点でも30点でもいいからアイデアを出すことが大事ですね。

 

 

 

ーー従業員の方から提案を引き出すためにされていることはありますか?

 

最初から積極的に提案を出してもらうことは難しいです。だから、アイデアを出しやすいムードや環境を作るようにしています。

 

我々は「少同短楽」という考えを作業改善のキーワードにしています。 

その中の「楽」の部分。自分がどうやったら楽になるか。そのための案を出してもらうように従業員には伝えています。そうすることで徐々にアイデアが出やすい空気になると考えています。

 

 

 

ーー社長が現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

 

昔は販売営業をやっていたんですが、縁あって全く畑違いのところに就職しました。最初は現場に入って隣のおばちゃんに教えてもらいながら仕事を覚えました。

 

 

 

ーーその時「いずれは社長になろう」という思いだったのですか?

 

初めはそんなに重く考えていませんでした。「せっかく声をかけてもらったし働いてみます」というところからですね。そこから色々な仕事やお客さんとのお付き合いがある中で、仕事内容も覚えてきたので、会長と世代交代をすることになりました。

 

やってみればそれなりに辛いことはありますが「いいモノ造ろう」という想いでなんとか10年間やっています。

 

 

 

ーー最初は自分が社長になるとは思わず?

 

全然そういう思いはなかったです(笑)

なんせ分からない事ばかりでしたから。右も左もわからなかったです。

「なんとかなるか」という思いでここまでやってきました。

 

何をするにしても最初は不安だと思うし、それはみんな同じなのかなと思います。

 

 

 

ーー社長になってからの10年間、一番大変だったことはなんですか?

 

リーマンショック直後の2009年が大変でした。2008年から2009年にかけて一気に受注が下がったんです。

そのタイミングで世代交代をしました。先代の社長が言ってましたが、落ちた時期が色々な苦労を知る良いタイミングだと。順調な時に変わると、落ちた時に対応できないからということで、、

 

 

 

ーーすごいタイミングで事業承継されたんですね。

 

事業承継してから仕事が減少していきました。あの時期はどこの企業も大変だったのを覚えています。でも「社長が自分になったから仕事が減った」って言われるのが嫌でした。そこから何年かかけて体制を立て直しました。

 

 

 

ーーその後、会社はどう変化しましたか?

 

この時期から、花き用LED照明(花の生長を促進させるために使用するLED照明)の受託製造を行なっていました。ちょうど鳥取県から花き関係の公募が出ていて、大学など専門機関と連携して挑戦しました。いざやってみると、けっこう面白い分野だなと。

 

生産者の方の声を取り入れ、県内の生産者のかたに育ててもらった製品です。

そういう意味で、オール鳥取県産の製品として全国に売っていきたいなと。

 

今は中部の生産者の方がメインで買ってくれているけど、全国に広げていきたいなと思っています。

 

 

 

ーー社長が思う未来や、挑戦したいことを教えてください。

 

せっかくLED照明を造っていますから、照らす光だけではなく、害虫から植物を防ぐ光だったり、花だけではなく何か他の植物や生物を育てる光を造ってみたいと思っています。

 

 

 

ーー今後、製品の品質管理を行うための画像認識プログラムを開発されるそうですが、市販の機械を買うのではなく、自社で開発しようと思ったのはなぜですか?

 

買ったモノを使おうとすると、自社の製造環境にフィットしないんですよね。

それだったら自分たちで試行錯誤して開発した方が活用しやすいんじゃないかなと。

 

そんなことを考えている時に、自分たちでプログラムをカスタマイズしている事例を聞きました。それを知ってから、自社でも開発できるんじゃないかと思うようになりました。ちょっと失敗したとしても、チャレンジしたいと思いました。

 

 

 

ーー昨今、副業・兼業が叫ばれていますが、外部の資源を使うイメージはありますか?

 

大きな会社であれば、技術案件や開発案件などさまざまな部署から仕事が入ってきます。技術者を抱えていても人材を持て余すことがないんですよ。でも我々は単発で仕事を受けているので、人材を抱えることは難しいです。必要な技術を持った人や、自社にない技術を持った人にスポットで仕事をお願いできる環境ができればと考えています。

リタイアされた方や、定年を迎えた方など、まだまだ現役で働けると思うので、プロジェクトにどんどん入ってきてほしいですね。その方たちの力が活かされず、そのままになってしまっているのは勿体無いですし。

 

 

 

ーー社長の夢はなんですか?

 

個人的な夢は、ゴルフの上達ですね(笑)

 

会社については、売上を出してみんなに還元していきたいですね。旅行に行ったりボーナスを出したり。

 

また、会社を成長させることで地域へ還元していきたいと思っています。

フジ電機が発展していけば、雇用も大きくしていけますしね。

 

商工会との関わりで、地元の方に喜んでもらえるイベントのお手伝いなどもしていきたいなと思っています。

 

 

 


 

 

会社への愛と覚悟が感じられる谷口さんのインタビューでした。

魂の込もったフジ電機の製品が、これからも鳥取の未来を明るく照らします。

 

株式会社フジ電機では、現在インターン生を募集しております!

インターン内容は、記事中にもある「画像認識プログラム」の開発プロジェクトです。

 

 

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