「まず、私が成長すること」

株式会社エスマート

レジインストラクター 瀬戸根 美希さん


 

『お客様第一主義』を掲げる『株式会社エスマート』

スーパーを語るうえで、お店の顔であるレジ担当者は欠かすことができない。

 

今回は、店舗運営部でレジインストラクターを務める瀬戸根 美希さんにお話を伺った。

 


 

新卒でエスマートに入社した瀬戸根さん。喋ることが好きで、就職先の選択肢にはスーパーしか浮かばなかったという。

 

やってみる、がチカラになる

 

入社してすぐ、青果・レジ・惣菜の部署を経験。入社半年頃から本格的にレジへ配属され、それからの8年間、レジ一本で経験を積んできた。

 

「スーパーはお客様とのコミュニケーションが一番大事。当時の上司もそこを強めたいと思って、私をレジの部署にしてくださったのではないかと思います。」

 

 

店舗での実務経験を積みながら、さまざまな研修会にも参加。18~23歳にかけてレジに関する勉強の機会に恵まれた。レジチーフを経て、現在はレジインストラクターとして新入社員研修でも活躍する。

 

「エスマートの基礎となる接客を教えることが主な仕事です。あとは、接客マニュアルを強化したり。」

 

若手社員の多くが瀬戸根さんの指導を受け、それぞれの配属店舗で活躍している。

 

 

 

実は瀬戸根さんは、エスマート初のレジインストラクターだ。

入社8年目(インタビュー当時)にCGCグループ※1 が主催するチェッカー※2 大会の中国大会で優勝。それまで接客指導を行っていた前任者が退社したこともあり、瀬戸根さんがインストラクターとして新たな挑戦をすることになった。

 

「ぽんっと飛び級しちゃった感じ。最初の頃は、知識の少なさや勉強不足に悩んだ。インストラクターという名前は、まだまだ自分にはふさわしくないと思います。」

 

向上心の強い瀬戸根さん。昨年は自ら手を挙げてチェッカー技能検定に挑戦した。一発合格とはいかなかったものの、資格取得に向けて勉強したことはしっかりと仕事に活きている。

 

「勉強したことで自分の身にはついたと思います。1級を持つ人の接客や指導は本当に素晴らしい。その方たちに敵う敵わないではなく、その方たちのような考え方を持てる人が社内に増えてくれるといいなと思います。」

 

 

※1 全国の中堅・中小スーパーマーケットで構成されている組織

※2 商品のバーコードを機械に通して読み取らせる人

 

 

心が通う瞬間

 

レジインストラクターは、指導やヘルプで他店舗へ行くことも多い。いつもと違う店舗で働くことに対して、違和感は無いのだろうか。

 

「私は他店に行くのが楽しいんです。知らないお客様が(私のレジに)並んでくださるのが本当に嬉しい。新しいお客様が自分と仲良くしてくれる。それって多分、他のお客様への接客を見て、『この子は初めて見るけれど並んでも大丈夫だな』と思ってくれていると思うんですよね。」

 

「私が『並んでほしい!』という意欲で立っていれば並んでくれるんですよ。『こっち来いやー!』って。大体並んでくれます。そしてお客様から『新しい方なのね』と声をかけていただけると『ふふん、新しくないんだぞ、私は』みたいな。でも、その店舗ではお客様の方が先輩。教えていただくこともとても多いし、それが楽しい。」

 

 

お客様がレジで過ごす時間は決して長いものではない。しかしその数十秒、数分間でいかにコミュニケーションを取るか――。

お客様について語る時の瀬戸根さんは、目の輝きが違った。

 

「自分の店舗にいる時よりもさらに頑張れる。初心に戻るというか。(新しいお客様と心が通じる瞬間が)今でもとても嬉しいですね。」

 

 

素の自分で挑戦させてもらえる場所

 

エスマートへの入社を決めた理由は、川木社長。就職活動の社内見学の際、社長自ら付き添ってくれた。

 

「初めて会うのに親しみやすさを感じた。アットホームな雰囲気がある。私のダメな部分も良い部分も引き出してくださるのではないかなと思ったんですよね。」

 

 

川木社長だけでなく、エスマートにはあたたかく見守ってくれる上司がたくさんいるのだそうだ。

社内初のレジインストラクターを任された瀬戸根さんにとって『これをやってみたい!』と手を上げられる環境は大きな支えとなった。

 

「どんな意見でもまず受け止めてくださる。ただ否定するだけでなく『もっとこうしたら』と。そうすると私の引き出しも増える。会社の成長というよりは自分の成長かな。そこからまた会社も良くなれば嬉しいですね。」

 

 

丸くなった私だからこそ、見えるもの

 

「こう見えて若い時は、金髪だったし化粧も濃かった。注意してくださる方はいたけれど、私は当時から負けん気が強くて『ぷん!』みたいな性格だったんですね。入社して4年くらいは、何も考えないままお給料をもらって、好き勝手にやっていた。」

 

「それが、今のお仕事をしていく中で、上の人の考えが分かるようになってきちゃって。『あ、そろそろ落ち着こう』と思ったのが、その頃。本当に良い転機だったと思いますね。」

 

 

当時の自分にチャンスを与えてくれた会社に感謝、と瀬戸根さん。少し尖った時期を経て責任ある立場になったからこそ、今後どう進んでいくべきなのかが見えたのだという。自身の経験を踏まえ、一見すると『あれ?』と思うことでも、その裏にある理由を考えるようになった。

 

「(最近の新入社員やアルバイトさんは)はい、いいえ、しか言わない子が多いですね。『本当に大丈夫?わかってないでしょ!』と思うこともあります。でも『はい』としか言えない理由が私にあるのかもしれない。」

 

「(彼らが)素直に思っていることを言える環境にするのが私の仕事かな。相手のことを考えている気持ちが伝わるように。それは接客にも繋がることだと思うので、その子たちにもそれを身につけてほしい。まず私ができないと、みんなもできないかなと。」

 

 

人との関わりを大切にできる人に

 

瀬戸根さんが初めて『働くこと』を経験したのは高校生の時だった。

飲食店での接客のアルバイト。当時はよく『お金をもらっているのだから、働くという意味を分かってほしい』と言われた。

 

「正直分からなかった。でも、分からないなりに(若いうちに)アルバイトはしておいて良かったなと思います。資格を取ることも大切だけれど、資格は社会経験ではないと思う。学生のうちの社会経験って結構大きい。やっぱり社会経験がある人の方が、人との話も上手ですし。」

 

「家族とか同年代の子だけではなく、色んな人と関わって。接客業にしろ何にしろ、人と関わる仕事がほとんどじゃないですか。」

 

 

 

最後に、5年後の瀬戸根さんについて聞いてみた。

 

「聞き上手になりたいし、相手の気持ちを分かる人になりたい。この会社のためというよりは、自分自身のために。資格とか取りながら、自分のスキルを増やして成長していきたい。」

 

「よくニュースでレジが AI 化されるとか言うじゃないですか。でもやっぱりスーパーって、おじいちゃんおばあちゃんやお子さんも来ますし、人との関わりで成り立っている部分が一番大きい。そこに関しては、私たちは機械に負けてはいけないと思う。人との関わりを大切にする接客を教えられる人になりたいですね。」

 

 


 

 

目の前の相手を、理解したい。大切にしたい。通じ合いたい。

 

そう思って挑戦してみることが、働くことの意味を知る鍵になるのかもしれない。

 

 

 

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